
7−1−3.フランス
フランスの社会保障制度は、大きく社会扶助制度と社会保険制度に分けられる。社会扶助制度は、障害者、高齢者、児童等社会的な扶助を必要とする者のための制度であり、教会の慈善活動をその源としている。これに対し、社会保険制度は保険料によって賄われる制度であり、保険リスクに応じて疾病保険、老齢保険及び家族手当などに分かれている。さらに、社会保険制度は職域に応じて多数に分立しており、極めて複雑な制度となっている。
フランスの海洋性レクリエーションは、イギリスとほぼ同時期(産業革命期)に開発された世界でも最も古い海洋性レクリエーション先進国の一つである、イギリスでは、ドーバー海峡に面したブライトンが、海洋性レクリエーション都市として有名である。ブライトンは世界で最も古い海水浴及び海水療法(SPA)の発祥地である。これに対し、ドーバー海峡を挟む対岸のドーヴィルは、フランスにおける海水浴とタラソテラピー(海水温浴療法及び海藻療法)の発祥地である。また、地中海に面したフランスのニースは、イギリス人が開発した世界で最も古いマリンリゾート都市である。
ドーヴィルは、ナポレオン 世の時代に英国人の投資家によって開発されたマリンリゾート地である。ドーヴィルはフランスで最も早くパリからの鉄道が敷設された都市でもある。その理由は、夏季のパリ上流社会がそっくり当地に引っ越すためであった。そのため、砂浜にはプランジェといわれる簀の子状の敷板が敷かれ、紳士淑女が靴を履いたまま海岸を散歩できるようになっていた。さらに、海岸にはティーサロンが設けられており、散歩に疲れた紳士淑女の休憩場となっていた。英国人の投資からは、自国のブライトンと同様なホテルとカジノ、ポロの競技場や競馬場を建設した。また、海藻を粉末にしてパラフィンと混ぜ、それを体に塗布する美容と健康のためのタラソテラピーを開設した。今や、健康美容施設としてのタラソテラピーは、大西洋、地中海に面したマリンリゾート地には、必ずといってもよいほど建設されている。このようにフランスは、海洋性レクリエーションの施設や拠点開発に取り組む姿勢は極めて積極的であるのにも関わらず、新しく開発されたマリンリゾート地やマリーナ施設の多くは、全
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